月夜の翡翠と貴方


…俺には、そんなことする資格さえないのに。

散々振り回して、期待させて、挙句これだ。

ジェイドも絶対、失望したに決まってる。


…優しくなんかない。

優しくなんかないよ、ジェイド。


俺はやっぱり…最低な奴、だよ。







夢を見た。


白い白い空間のなかで、ナタナと私が、一定の距離を持って、立っている。

立っている私は、姿こそ今の私だけれど、なんの感情もない、ただぼうっとしているだけの、無表情だった。

まるで、ナタナの屋敷にいた頃の、私のようで。


ナタナは、そんな私を、見つめていた。

あの頃のように、蔑んだ目で、優しく微笑みながら。


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