月夜の翡翠と貴方
「…サイッテー…」
わかっていることを、呟く。
いくら苛ついているからといって、最後のアレはさすがに自分を呪った。
言ってしまって後悔した。
....こちらを振り返った、彼女は。
まるで、泣きそうな目をしていて。
抱きしめて、そこから連れ去りたかった。
周りの奴らを蹴散らして、邸から逃げ去って。
…俺が咲かせた翡翠葛だ。
マテンのものじゃない。
前のジェイドを、俺が変えてしまったことくらいは、ちゃんとわかっている。
俺がいなくなれば、確実に彼女が壊れてしまうことも。
マテンのコレクションとなって、無表情のまま、一生を終えてしまう。
…本当、最低だ。
彼女を明るい方向に変えた俺が、彼女を捨てるなんて。