月夜の翡翠と貴方
あの人のことを考えると、
苦しくて愛しくて、
本当に私じゃないような、
知らない感情ばかりが出てくる。
あの人は『いい方向に』変わった、と言っていたけれど。
今までのように、
静かに耐えられない私がいる。
激情が襲ってきて、おかしくなりそうだ。
…ああ、
いっそのこと少し、この激情に身を任せてみようか。
生きていくことだけが希望だった私の、
心から欲しいと思ったものを。
ナタナの揺れた瞳が、目に焼き付いている。