月夜の翡翠と貴方
ルトが依頼主であるマテンから、手紙とお金をもらって。
ふたりで、街中の店をまわって買ったドレス。
ルトが、私に似合うと言ってくれた。
…それは、コレクションになる私を、美しく着飾るためだけのものだった。
檻のなかに入った私の、コレクションとしての価値を高くする。
…そのため、だけに買ったもの。
「…………ほんと酷い…」
滑稽だ。
可笑しくて、笑えてくる。
ふたりで疲れ果てて、探し回って見つけたもの。
なんの目的かなんて、聞かされなかった。
どうして買うのか、訊かなかった。
ただルトが、『綺麗』と言ってくれたことが、嬉しかった。
それだけでよかった。
けれど…………