月夜の翡翠と貴方
そして彼は最後に、こう言った。
私を、優しく見つめて。
「…どうか、諦めないで下さい。欲しいものを、手に入れることを」
私は、目を見開く。
彼は扉をノックする。
「連れて参りました」
その声と共に、私は足を踏み出した。
*
パタン…
少女の碧の髪が、視界から消えていく。
目の前で、扉が閉まる。
「…さてと」
男はふぅ、とため息をつくと、螺旋階段を上がり始めた。
もう一仕事。
もうすぐ、終わる。
あとは、少女がどうするか、だ。
まず、『彼女』に報告に行かなければ。
召使いとして彼女に会うのは、だいぶ苦労する。