月夜の翡翠と貴方
「…全て、君のために用意したものだ。どうだ、君の『檻』は」
そして、ソファーに腰掛ける、マテン。
ニタ、という笑みで、私を見つめていた。
この部屋は、本当に私のために作られたもののようだ。
なんて馬鹿らしい。
コレクションをより魅せるために、ここまでするとは。
「ジェイド」
マテンは、目を細めて私を呼んだ。
無表情でマテンの前に立つと、熱のこもった瞳と目が合う。
「……美しい。金を送ってシズどのに買ってもらったが、正解だった」
ドレス姿の私を、頭の先から足の先まで、マテンが見つめる。
「本当に美しい」
マテンの指が、私の首に触れた。
そのまま、肩へと滑らせていく。
…………まるで、上から黒いもので塗り替えられていくようだ。
ルトが美しい感情で『綺麗』だと言ってくれたのに。