月夜の翡翠と貴方
私は角を見つけると、左に曲がった。
そして見えたのは、廊下の奥にある、扉。
私は導かれるまま、その扉へ走った。
後ろから足音がする。
急いで扉の前に立つと、取っ手に手をかけた。
…これで、この扉に鍵でもかかっていたら、笑えるが。
容易く男を信じた、私が悪い。
しかし扉は、あっさりと開いた。
その向こうにあったのは、階段。
暗く、先が見えない。
明らかに、地下への道だ。
この邸に、一体いくつ地下の空間をつくっているのか。