月夜の翡翠と貴方
「……え……ジェイド?」
頭上から、間抜けな声がする。
嘘じゃない。
幻でも、ない。
ルトがいる。
ルトがいる。
「………泣いてる?」
ず、と鼻をすすって、首を横に振った。
ルトは「泣いてんじゃん」と笑う。
ルトの背中に顔をうずめながら、私は「なんで」と震えた声を出した。
「…なんで、いるの………?」
意味がわからない。
ルトは、私を捨てたじゃないか。
上を見上げれば、優しい微笑みが見える。
…どうして、そんなふうに笑ってるの。
ルトはこちらを向くと、私の頭を撫でた。
「…とりあえず、ここじゃ見つかるかもしれないから。向こう言って、話そっか」