月夜の翡翠と貴方


ルトは、やっぱり優しい声で。


鼻をすすりながら、私は小さく頷いた。







この屋敷が自然に囲まれたところにあったからか。

紛れれば、向こうの屋敷からこちらの存在は見えないだろう、と思えるくらいには、たくさん木々が重なってあった。

ルトは私の手を引いて、木陰に行くと、そこに腰をおろした。

私は、ルトの前に立つ。

辺りはもう暗くなる頃で、ドレスでは少し肌寒い。


「ん」

ルトが上着を脱いで、私の肩にかけた。

「…ありがと」

「どういたしまして」

その言葉に、本当にいつも通りだな、と思っていると、突然に腕を引っ張られた。

「えっ……………」

私の体は、ルトの腕のなかに収まる。

そして、頭を撫でられた。

「……ル、ルトっ…」

「ん?」

…甘い、笑み。

その顔に思わず顔が熱くなるのを感じると、はは、と笑われた。


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