月夜の翡翠と貴方


ミラゼは、ミューザの街で情報収集をしていて。


「…なんか、ミラゼ、俺がカナイリーから受けた依頼、知ってたんだよ。偶然依頼書を見たとかで」

心当たりがあるような気がするけど、とルトは不満気に唇を尖らせる。

そこで、ミラゼが自身の依頼のことを考え、私達を追ってきて。


「それで、まぁ…後でミラゼ来るから、わかると思うけど。ふたりと協力して、ジェイド奪還大作戦をしよう、みたいになって………」


ルトは少し、気まずそうに苦笑いを浮かべる。

…どうやら、私のなかで浮かんだ疑問に、気づいているようだ。

当たり前だ。

説明になっていない。

私がまず聞きたいのは、そんなことじゃない。

私は、むっとしてルトを睨む。

ルトは、目を逸らす。

…やはり、最低だ、この男。


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