月夜の翡翠と貴方



「…なんで、奪還なんてするの?」


意味がわからないのは、今も変わらない。

私が聞きたいのは、ルトの気持ちだ。

何故私を捨てたルトが、今更私を取り返そうなんて、考えるのだ。


ジェイドは、唇を噛む。

…どれだけ、どれだけ。

どれだけ、私が………


「…ん。………ごめん」


その言葉に、私は弾かれたように声を荒げた。


「『ごめん』って言わないで!」


突然大声を出した私に、ルトがびく、と目をむく。

…あのときだって。

『ごめんな』、なんて。


ルトは、俯いた私を見て、悲しそうに眉を下げた。


「…俺のこと、嫌いになった?」


…なんなの、その質問。

また、声を荒げそうになる。


< 670 / 710 >

この作品をシェア

pagetop