月夜の翡翠と貴方
上機嫌なミラゼを見ていると、こちらも楽しくなってくる。
「よかったわね、ジェイドちゃん」
「あ…はい」
…ミラゼは、どう思っただろうか。
私が、奴隷であったこと。
何も言わないけれど…
軽蔑だとか、されていたら。
しかしミラゼは私を見て、美しく笑うと、小さく口を開いた。
「…何かあったら、相談にのるからね。いつでも酒場に来て」
…その言葉に、私は目の奥が熱くなった。
もう、二度と会うことは出来ないと思っていたのに。
…なんて、嬉しい出会いだろう。
私には、本当にもったいない。
「ありがとう、ございます」
私は心から微笑んで、ミラゼに礼を言った。