月夜の翡翠と貴方
ミラゼも微笑むと、実に自然に私の手にあったグラスをとり、酒をついでいく。
「えっ………あの、私お酒は」
「いいじゃない、たまには。どうせこれから、ルトの酒に付き合うことにもなるんだから」
その言葉に、思わずミラゼを止めるのをやめる。
…確かに、一緒に旅をする相手が、酒を飲めなくてはつまらないだろう。
ミラゼは、黙った私にふふ、と微笑んで、グラス一杯に酒をついだ。
「…………」
並々注がれたグラスを見つめていると、隣のルトが、こちらに気づく。
「…ジェイド、酒大丈夫なの?」
「……さぁ…」
飲んだことがないのだから、私にはわからない。
けれど、少しでも飲めたことに、越したことはないだろう。
私はグラスに口をつけると、少しずつ喉に流していった。
「…無理するなよ…って、俺が言えたことじゃないけど」
まだあまり飲んでいないのか、ルトの顔色は変わっていない。