月夜の翡翠と貴方


グラスから、口を離す。


「…大丈夫か?」

なんだか少しだけ、意識が浮いたような感覚がするような、しないような。

「…たぶん、大丈夫」


それから少しずつ飲んで、グラスが空になると、ミラゼがついでいく。

これからのことや、私のこと、色んなことを話して…

そして、ルトが「眠い」と言い出した頃、ミラゼとイビヤが、自身の部屋に戻っていった。


「ジェイドちゃん、ルトをよろしく〜」


随分酒が入ったミラゼが、明るい笑みで、去っていく。

イビヤはあまり酔わないのか、やはり微笑んで、こちらへ礼をして行った。


…よろしく、と言われても。

私自身、だいぶくらくらしているのだが。


「…ルト、大丈夫?」

「……ん。大丈夫…」

ルトはひとつ欠伸をすると、目をこすった。


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