月夜の翡翠と貴方


私も、酒が入っているからか。


「…………うん」


なんて、返事をしてしまった。


ルトは、「素直だね」と言って、私の頬に触れる。

そして、首筋へと、滑らせる。


「……カナイリーのあと、消してあげる」


ルトが、触れる。

優しく、けれど確かに触れる。

首筋に、キスを落とす。

「………ルト…」

は、と息が上がる。


「黙って」


…怒って、いるのかもしれない。

どうしてかは、わからないけれど。

惚ける思考のなかで、大窓を見つめた。

月が、昇っている。

月明かりが、窓から部屋へ差している。

ぼうっとそれを見ていたら、ルトの手が服の下に潜り込んできた。


「………っルト!」

「あ、駄目?」

「だっ……駄目っていうか…」


手が早すぎる、この男。


< 699 / 710 >

この作品をシェア

pagetop