月夜の翡翠と貴方
少しずるいやりかただけれど、甘えるような目をして。
ルトは私を見つめ返して、「…そうだね」と笑った。
「じゃあ、今日は一緒に寝るだけ」
私がこの態勢から離れようとすると、ルトが「ちょっと待って」と止めた。
ルトの手が、頬に添えられる。
……気づいた、ときには。
「………ん」
唇が、重なっていた。
首に腕を絡めているからか、ルトの腕が私を何度も何度も抱き寄せてくる。
全ての感覚に、酔っていく。
…ルトは、本当にずるい。
けれど、それさえも愛おしかった。
ルトの全てが、私を捉えていく。
嫌なほど、酔っていく。
唇が離れると、ルトが私を寝かせて「寝ようか」と言った。
ルトが、隣で横になる。
…特別な、ことではない。
今までだって、普通にルトが隣で寝ていた。
けれど、そのときとは確実に違う。