月夜の翡翠と貴方
結局、私にとってこの男は『ルト』であり、それ以外は信じないのだから。
ルトが、私をぎゅう、と抱きしめる。
「…多分俺、ジェイドいなくなったら、つまらなすぎて死ぬから」
「…そう。私は……ルトがいなきゃ、生きていけないと思う」
これは真実であり、そのままの事実である。
まず金もなければ、住むところもなく。
きっと奴隷屋に売られない限り、生きていくことさえ出来なくなるだろう。
それを伝えると、ルトは何故か嬉しそうに笑った。
「じゃあジェイドは、一生俺から離れられないね?」
「…そうだね」
たとえ金や住むところがあっても、ルトがいなければ、私はまともに生きていけないだろうと、思う。
安定した精神で、いられない。