月夜の翡翠と貴方


「この辺り、宿ないから。森を抜けたらでかい街なんだけど、今から森を抜けるのは無理だ。悪いけど、森んなかで野宿でいいか?」


ほら、とルトは腰から下げている袋を見せる。

…きっと、中には小さなテントが入っている。

私はこくん、と頷いた。

彼に手を引かれ、ゆっくりと森の中へ歩いていった。






「…よし、できた」


頭上の木々の隙間が大きくあき、月の光が強く当たる場所に、ルトはテントを張った。

目の前の群青のテントは、月光に照らされ、存在感を放っている。



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