月夜の翡翠と貴方
テントのなかへ入ると、案の定とても狭かった。
本当に、ふたりがギリギリに入るぐらいである。
あとから入ってきたルトが、隣に座った。
横をちらりと見ると、思っていた以上に彼がすぐ近くにいて、何故か戸惑ってしまう。
変な居心地の悪さを感じなから、私の唯一の手荷物である袋から、麦色の絹の布を取り出し、それを布団にした。
他に袋に入っているのは、下着などである。
ルトも袋から絹の布を出しながら、こちらを覗き込むようにして見た。
「………もう寝る、よな?」
…こんな狭いテントに入って、今更何を言うのか。
「………うん。疲れたし。眠い」
「…だよな」
そう言うと、ルトは私の隣で横になった。