月夜の翡翠と貴方
第二章
名前、少女、太陽のように
…何も、言わなくていい。
貴方と私は、奴隷と主人。
知らなくていいの。
だから、何も言わないで。
…そう、思っていたのに。
貴方が、わからない。
どうすれば良いのか、わからない。
翡翠葛はひとり、戸惑う。
貴方の優しさは、なんのため…?
*
「ジェーイド。起きろー」
…エルガの、声じゃない。
日の差し方が、あのテントじゃない。
ここは…………
私は薄っすらと、瞳を開いた。
するとすぐ近くで、明るい深緑が見える。