月夜の翡翠と貴方
「まぁ、俺も三十分ぐらい前に起きたんだけどな」
そんなことを言って笑いながら、ルトは私の布団までたたんでくれた。
ありがと、と言いながら、私は自分の袋から、ブラシを取り出す。
髪を梳くと、絡まりがとれてサラサラになっていった。
「…綺麗な髪だなあ」
ルトは毛先に触れると、感嘆したようにそう呟いた。
「……そう、かな………」
…果たして、綺麗だろうか。
他人の目からどう映るのか知らないが、私は自分の髪が大嫌いだ。
到底、綺麗になど見えるはずもない。