月夜の翡翠と貴方
褒めたはずなのに、喜びの色を見せない瞳を見て、ルトは眉を寄せた。
「……ジェイドは、そう思わないのか?」
その言葉に、私は咄嗟に反応出来なくて。
数秒経ってから、私は間抜けな声を漏らした。
「………あ」
一瞬、誰の事かわからなかった。
…そうだった。
私は昨日、もらったのだ。
この男に、翡翠葛の名を。
「今忘れてたろ、自分の名前。お前の名前はジェイドだからなー?」
ニヤニヤと、妙に苛つく笑みを向けてくる男を睨む。
すると、すいませんと言って、彼は笑いながらテントを出た。
私も、続いて出る。
太陽の光が眩しくて、目を細めた。
…もうすぐ、昼になるごろだろうか。
ふたりして、よく寝てしまった。
テントをたたみながら、ルトは腹減ったなーなんて呟く。