月夜の翡翠と貴方
フードから放たれた少女の長い髪が、無造作に宙を舞い、広がった。
青年は目を見開き、それを見つめる。
髪がはらりと少女の肩に落ちたとき、彼は静かに呟いた。
「『碧色』…………」
…その言葉が、果たして相応しいのかはわからない。
しかし、恐らく自分の知る限りの言葉では、それが最も近い言葉だろうと彼は思った。
青とも、緑とも言える色。
極端に言えば水色と黄緑が混じった色だろうが、それだけではない気がした。
ただ青緑と言うには絶対的に相応しくない。
目に映る碧色は、淡い光沢を放っていた。
…一瞬にして、目を奪われる。
この珍しい碧の髪は、それほどに美しかった。