月夜の翡翠と貴方


「このまま森を抜けて、飯食いにいこ。抜けるまでは、そんなに時間かからないから」


「……うん……」


……どこへ、向かっているのだろう。

ただ漫然と森を抜けるのだ、と思っていたが、確実にこの旅はどこかへ向かっていた。

方位磁針を借りて、ルトの指す方角を見る。

どうやら街は、西にあるようだ。


…漠然とした、旅。

目的地も、なにもわからない。

ただただ、ルトについていく。

そして行き着いた先に何があるかも、私は知らない。

けれど、知らなくていいと思った。

言っていい事なら、ルトはとっくに言っているだろう。

しかし、彼は何も言わないのだ。

それはきっと、訊くな、ということなのだろう。

だから。

…だから私は、何も訊かない。





「あーっと……東門だっけ、南門だっけ」


森を抜け、比較的大きな街に着いた。


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