月夜の翡翠と貴方
食事を済ませた私とルトは、噴水のある広場に立ち止まっていた。
ルトが地図を出し、進む方角を確認している。
私はそれをわざと見ないようにして、広場に集まるハトを見つめていた。
すると、近くから子供の泣き声が聞こえた。
「うわぁぁ〜ん…パパ、どこぉ~…」
声のしたほうを見ると、噴水の近くで幼い少女が泣いている。
肩口まである、金髪でふわふわの髪。
どうやら、父親を探しているようだが…一向にそれらしき人物は現れない。
「………………」
広場にいる人々は、その光景に見て見ぬフリをしている。
明らかに、面倒ごとには関わりたくない、という様子だ。
なんて、非情な人々だろう。
しかし、この国の人間はみなそんなものだ。
治安の悪い地域が多いペルダインの国民は、自分のことしか考えない。