月夜の翡翠と貴方
「…ルトが行ったら、いいじゃない」
「ジェイドが行けよ」
「………………」
…無言で睨むと、彼はハイハイと言って、仕方なさそうに笑った。
そして、地図を私に渡し、未だ泣き続ける少女のもとへ向かう。
私は地図を見ずに、たたんだ。
自分はもともと、人と接するのが苦手なのだ。
こんな仏頂面の女より、明るく人と話せるルトのほうが、よっぽど適任である。
ルトが、少女の前に立った。
驚く少女は、目を見開いてルトを見上げている。