月夜の翡翠と貴方
「……違うの?」
スジュナの澄み切った子供の目に、ルトはわざとらしく胸を打たれたような仕草をした。
「おにいちゃん達はな…なんつーか…友達なんだよ。友達!」
「友達なのに、ふたりで旅してるの?」
「あ?あーっと…………」
奴隷と主人、とは、さすがのルトも言えない。
私はため息をつき、スジュナを見た。
「あのね、私達は友達だけど、そんなに仲はよくないの。ちょっと用があって、仕方なく一緒にいるだけ。恋人なんかじゃないわ」
「…………」
隣から視線を感じたが、無視。
スジュナが素直にそうなんだ、と納得してくれたので、安堵した。