白銀色の亡霊
 タンクトップの白いワンピースを着た、足ぐらいまでの長さのある髪をした女性が、いた。


 全体的に白銀っぽい色で包まれている女性が、いた。


 父さんのベッドの横に立ち、ジィーっと僕を見ていた。


 見詰めていた。


 真っ直ぐと。


 虚ろな目をして。


 僕はすぐに顔をテレビの方に反らした。


 ……なんだったんだろう。今の人は。今の女性は。


 たったの数秒しか見ていないのに、頭の先から足下まで頭の中に焼き付いているその女性。


 僕の心臓は、大きく脈打つ。
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