白銀色の亡霊
 怖い思いを押し殺して、僕は恐る恐る父さんの部屋を見た。


 ……けれど、“もう”そこには誰もいなかった。


 視線も気配も消えた。


「母さん……!今、父さんの部屋に知らない女の人が……」


 僕はすぐに目の前にいる母さんに出来事を説明した。


 けれど。


「光か何かの見間違いでしょ」


 信じてくれない。


 光?……障子で外からの光は遮断されているのに、どうやってこの目でハッキリと見た女性を光と間違うというんだ?
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