駄文 集 【放文】
CDをフリスビーに
私は何かを勘違いしていた。てっきりCDはプレイヤーで中を聞くものばかりだと思っていたからだ。

とある公園で段ボールからプラスチックのカバーケースからCDを取り出しては、放り投げるを繰り返す。

端から見れば私は楽しんでいる人か、または頭がおかしい人に見えるに違いない。

でも楽しんでもいないし、頭もおかしくはない。ただ淡々とCDを放り投げていく。

銀盤が弧を描き飛んで行く。一枚……また一枚宙を舞い地面へと吸い込まれていく度に何か私の心が解放されていく。

どれぐらいの間CDを放り投げたのか、段ボールからCDは無くなっていた。

開いたCDケースの歌詞カード裏には私の写真やサインが見えた。脚を大きく上げて一気に踏み抜いた。

二度三度……乾いた音が鳴り響く。多分私は少しだけ泣いていたのかもしれない。何度目かに踏み抜いた後には、ひしゃげた段ボールとプラスチックの残骸と靴底の泥で汚れた歌詞カードがあった。

空から涙が降ってきて、私は立ち尽くした。


終わり 
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