駄文 集 【放文】
欲と金と信者
「欲は金を生み。金は欲を生む……実に当たり前の話だが、人は誰も理解していない。
人と欲は断ち切る事の出来ない関係である。
欲を満たすには金が必要になり、金を得る度に新たな欲を得る。
中には欲を自覚していない者もいるだろう。
だが欲がなければ金は必要ではなくなる。
経済を回すにおいて何よりも欲は重要である。
欲を喚起するために宣伝が行われている。
普通、人は孤立を好まない。
弱さ故に集団を好み、弱さ故に集団を知ろうとする。
よって大衆に雑誌とテレビが蔓延でき、人々は大衆に与えられた情報に満足する。
一方で人の歴史において欠かせない物事がある。
我々日本人にはいまいち馴染みが薄い感覚かもしれないが……そう宗教である。
正月に初詣し、お盆やクリスマスを祝う……大衆と情報や感情を共有するテレビや新聞雑誌の無い時代なら催しは重要視されていただろう。
かつては人々は神や仏の信者だった……今は金の信者である。
」
会場にどよめきが上がる。
「確かに否定したい話だろうが、もし金の信者でなければ金を求める行為と生活のバランスを考えるだろう。
幸せという、あやふやな物が神や仏にあり、神や仏の信者ならば、ただ祈れば良かった。
しかし、金の信者の幸せはあやふやではなく、金の額によって決まる。
欲を満たす為には金が必要だからである。
金を得る為には犠牲も仕方ないと考えるようになる。
今聞いている君達には否定し難い話だろう。
公聴が嫌ならば結構いつでも退席して頂いても構わない。
関係ないと耳をふさぎ机に伏せても構わない。
そう……君達は最後まで私の話を聞けば確かな報酬……50万を貰えるのだから……」
俺はおもむろに席を立って会場から出た。
その後どのような話がされたのかはわからない。
だが、何か大切な物を失うように感じた。
それが何かは俺にはわからないが……友人に話と俺なら最後まで話だけは聞くのにと嘯いた。
あの異様な雰囲気で最後まで残れたなら……な。
友人と同じ考えだった俺が途中で出たのだから……。
あれ以来、あの謎のセミナーと勧誘は見かけない。
終わり
人と欲は断ち切る事の出来ない関係である。
欲を満たすには金が必要になり、金を得る度に新たな欲を得る。
中には欲を自覚していない者もいるだろう。
だが欲がなければ金は必要ではなくなる。
経済を回すにおいて何よりも欲は重要である。
欲を喚起するために宣伝が行われている。
普通、人は孤立を好まない。
弱さ故に集団を好み、弱さ故に集団を知ろうとする。
よって大衆に雑誌とテレビが蔓延でき、人々は大衆に与えられた情報に満足する。
一方で人の歴史において欠かせない物事がある。
我々日本人にはいまいち馴染みが薄い感覚かもしれないが……そう宗教である。
正月に初詣し、お盆やクリスマスを祝う……大衆と情報や感情を共有するテレビや新聞雑誌の無い時代なら催しは重要視されていただろう。
かつては人々は神や仏の信者だった……今は金の信者である。
」
会場にどよめきが上がる。
「確かに否定したい話だろうが、もし金の信者でなければ金を求める行為と生活のバランスを考えるだろう。
幸せという、あやふやな物が神や仏にあり、神や仏の信者ならば、ただ祈れば良かった。
しかし、金の信者の幸せはあやふやではなく、金の額によって決まる。
欲を満たす為には金が必要だからである。
金を得る為には犠牲も仕方ないと考えるようになる。
今聞いている君達には否定し難い話だろう。
公聴が嫌ならば結構いつでも退席して頂いても構わない。
関係ないと耳をふさぎ机に伏せても構わない。
そう……君達は最後まで私の話を聞けば確かな報酬……50万を貰えるのだから……」
俺はおもむろに席を立って会場から出た。
その後どのような話がされたのかはわからない。
だが、何か大切な物を失うように感じた。
それが何かは俺にはわからないが……友人に話と俺なら最後まで話だけは聞くのにと嘯いた。
あの異様な雰囲気で最後まで残れたなら……な。
友人と同じ考えだった俺が途中で出たのだから……。
あれ以来、あの謎のセミナーと勧誘は見かけない。
終わり