フェイス
「誰が、ぼんくらだって?」


 ほら、やっぱり来た。


「わぁ!」


 私の背後に立つその男を見て、まりちゃんは目を輝かせた。

 それこそ戦隊ヒーローを見る子供みたいに。

 まりちゃんは他の女の子とは全然違う目でその男を見ている。

 だから、他の女の子とはこの話ができないってわけ。


「噂をすれば何とやらって奴だな」

「悪魔の話をすると、悪魔がやってくるものよ」


 春平ははっきり聞こえるように言った。

 だから、私も言ってやった。
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