フェイス
「これで良かったのかもしれない。いつかはこんな日が来ると思っていたから」


 遅かれ早かれ私とあの男はこうなる運命だったと思う。

 今はまだ慣れないだけで、いずれこの状態が当然になっていく。

 だって、いつまでも一緒にいられる関係じゃないから。

 いつか、あの男は私なんかとは比べ物にならないほど綺麗な人を隣に置いて、自分の力で守っていく。


「そう思われると困るな。僕が悪役になった意味がなくなる」


 彼は苦笑いした。
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