フェイス
「ねぇ、あなたは?」


 私は彼の名前を知らなかった。

 知れば、あの男との繋がりが見えてくるかとも思ったけど、純粋に知りたかった。


「古葉永太(こばえいた)、一応、君の味方のつもりだったんだけどね」


 そう言って彼――古葉君は寂しそうに笑った。

 味方、その言葉が胸に痛い。


 多分、私は被害者じゃなくて、加害者。

 存在することで何かが壊れていくのをわかっていながら、自分のために壊し続ける卑怯者。

 そんな気がした。
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