フェイス
「わかってますよ」


 当てつけがましく言う。

 まるで、私がやったみたいな言い方には呆れるしかない。

 私はそんな面倒な真似はしない。

 そもそも解放されたいとは思わない。

 これは私が選んだ道だ。


「別にいつだって離れていける」


 確かに、永添家は代々時永家に仕えてきた。

 けど、時永のお祖父様が廃止した。

 主従ではなく、友であろうとした。

 それこそが本当の解放だったのかもしれない。
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