フェイス
「その言葉、そのまま返しておきます。他人は踏み込めない領域があるもので」


 主従の時代が終わっても絆は切れない。

 だから、そこは特別なエリア。

 私がそう思いたいだけ、見栄なのかもしれない。

 やっぱり、特別だと思いたいのかもしれない。

 彼女達とは違うのだと。


「本当に生意気な子!」

「状況、わかってんのかよ!?」


 斎藤先輩が憤慨して、女ヤンキーが怒鳴った。


「家庭の事情には踏み込まないのが常識です」


 これは複雑な家庭の事情。

 御祖父様のこととかこの人達には話したくないし、あの素晴らしい人のことも多分理解できない。
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