フェイス
「手紙とか前からあったんだってな」

「な、何の話よ? これだって私があの人達、怒らせただけで」


 前から、私がこの男の近くにいることに不満を持つ人物からの手紙はあった。

 それこそ、古葉君の要望書みたいな感じで。

 春平も智也先輩も知っていたけど、この男の耳には入れないように頼んでいた。


「強がるなよ。もういいんだ」


 何がもういいのか。

 何で私は抱き締められているのか。


「良かった……お前が無事で良かった」


 これは本当に時永なのか。
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