フェイス
「私なんかどうなったっていい」

「よくねぇよ。全然よくねぇ」


 私は時永に仕える者、守るためならどうなってもいい。

 なのに、こんなにも弱々しく、強い男を私は知らない。


「私が優先するのはあなたの安全です」

「それと同じだ。でも、少し違うな」


 いつだって、そう思ってきたのに、何が同じで何が違うのか。

 真意が知りたくてじっと見ると、時永は視線を逸らした。


「俺な、お前といると結構やべぇんだよ」


 少し小さな声が降ってくる。でも、どういう意味?
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