フェイス
「なら、直ちに調査しろ」

「どーせ、いたずらだろ? ほっとけよ」


 時永は命令するけど、春平は取り合わなかった。

 もちろん、私も従う気はない。


「俺がこいつを束縛してると思われてるなんて虫唾が走る」


 ビシッと私を指さして時永は言った。

 そう、私が勝手に仕えてやっているだけ。

 この男は私を煩わしく思っている。


「ああ、可愛い女の子が離れていくから」


 春平のことはその辺に落ちているゴミとか虫みたいに思っていると思う。

 けど、私は意味が異なってくる。

 私が女だから、この男は側にいることを嫌がる。

 だって、女の子が大好きだから。
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