フェイス
「え、マジ?」

「一年の時、学級委員でね、時永君に色々助けてもらって、そういう縁でたまに声かけてくれたから、友達なのかな、って」

「それさ、女だって意識されてないってことじゃないかな」

「私もそう思う。っていうか、意識してないよね? 時永君」


 急に話を振られて、“あの男”は一瞬動きを止めた。


「お前は……珍獣だ」

「ほら!」


 有梨先輩は楽しそうに言った。

 貶しているわけじゃないにしても喜ぶところじゃないはず。
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