フェイス
 まりちゃんと別れ、私と春平は生徒会室に向かう。

 副会長の腕章を付けた二人同士、絡み付く視線には慣れている。

 注目を集めたがっているのはあの男だけ。


 生徒会役員は私と春平とあの男の三人だけ。

 おおよそあの男に私物化されているからだけど、不便はない。

 むしろ、他人に入り込まれるよりずっと気楽だった。

 多分、春平も同じ。

 あの男はどうだか知らないけれど。


「なぁ、お前、ちゃんとあいつにあのこと言うよな?」

「言って、どうなるの?」


 春平が言いたいことはわかっている。

 でも、そんなのは今更だ。

 特に状況が変わったわけじゃない。
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