フェイス
「ふざけたまねしやがって! 言いたいことがあるなら口で言えよ!」


 春平はカッとなり易い。

 掴みかかろうとする前に私はその腕を掴んだ。


「俺はてめぇらなんて必要ねぇ。じじいがどうだろうと俺には関係ねぇ。てめぇらのせいで俺の平和で楽しいパラダイスな学園生活は台無しだ」

「てめぇ……!」


 続ける時永に、春平が唸るように声を上げた。

 私は絶対に春平の腕を離すわけにはいかなかった。

 殴ってしまえば全てが消え去るから。
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