フェイス
あなたの影になる
 放課後、私は一人で生徒会室に向かっていた。

 昼のことを報告するために。

 どうにもならないことはわかっていたけれど。


 ノックをして入った部屋には他に人はいなかった。

 この前と変わらない様子で時永は机の上を見詰めていた。


「なぜ、戻って来た?」


 冷たい声、鋭い視線、まるで尋問されているみたい。

 でも、恐れはない。

 まだ私の中にも信念があるから。

 決して消えない火が灯っているから。


「犯人はわかりました。特に何か問題を起こしたわけではないので、見逃しましたが」


 これは単なる報告、期待なんてしていない。
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