フェイス
「俺はもう大人だ」


 この男は一人で大人になろうとする。

 御祖父様にとってはいつまでも子供なのに。

 周りをどれだけ不安にさせているかも知らずに。

 ううん、きっと知らなくていい。

 全て私達が取り除くべきものだから。


「いないものと思えばいい。それだけのことです」


 煩わしいなら見なければいい。

 それでも、どうしても、視界に入ると言うのなら私達は消えてみせる。


 そして、私はすぐに背を向けて生徒会室を後にした。
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