フェイス
 廊下を歩いていたら前から見覚えのある人が歩いてきた。

 背が高くて、校内でもよく目立つ人。

 悪い意味ではなくて、いい意味で。


 自然で、爽やかで、格好いい方だとは思う。

 校内での人気は二番目で、成績も二番目。

 一位は言うまでもない。

 万年二番の男、清永智也(きよながとしや)先輩。

 時永の親友。

 あの男に言わせれば腐れ縁とか悪友だけど、いい人だと私は思う。


「よっ」


 私に気付くと、智也先輩はにこっと笑って手を上げた。
< 58 / 173 >

この作品をシェア

pagetop