フェイス
「なーんか、あったよね? トッキーと」


 屋上に着くと智也先輩は早速切り出した。

 トッキーっていうのはもしかしなくてもあの男のこと。

 智也先輩はすっかり定着させてしまった。

 あの男は嫌がっているけど。

 多分、智也先輩だから許されている。


「そうやって私に相談させたいんですか?」


 私は肩を竦める。

 智也先輩はずるい。

 いい人だけど、たまにずるい人。
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