フェイス
「まあ、軽いところもあるのは事実ですからね」


 この人は軽い男と言えば軽い男。

 それは私も否定できない。この人をずっと見ていればわかる。

 年上と美女には特に弱い。


「そうかな?」


 智也先輩は首を傾げたけれど。


「俺ってそんなに節操なくないよ? ちゃんと一途なんです。尽くす男なんです。無害な男なんですー」


 智也先輩は主張する。

 そもそもその主張も何だか軽かった。


「あの男に何か言われたんですか?」


 あまりに主張するから私は聞いてみた。

 時永と智也先輩はしょっちゅうよくわからない会話をして、罵り合ったりしていた。

 どっちも本気じゃないけれど。
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