フェイス
「そういうことで先輩からの助言はありがたく聞いて、ちょっと我慢しましょうってことで」


 そう言って、智也先輩は私の頭を撫でた。

 多分、智也先輩は私にとって、兄みたいな人。

 この人が私を妹のように好きだと言ってくれるように。

 でも、あの男を兄だと思うことだけはいつでも上手にできない。


 結局、私はどうすることもできずに大人しく頷くしかなかった。

 智也先輩が何をしようとしているかなんて全然わからなかったけれど。
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