フェイス
「何だよ? 気持ち悪ぃ」


 くるりと振り向いた春平は変な顔をしていた。

 それこそ本当に悪い物を食べたみたいに。


「だって、私がいたから壊れたんだよ?」


 私がいなければ、春平だって嫌な思いをせずに済んだ。

 何だかんだ言っても春平はあの男のことを本気で嫌ってはいない。

 むしろ、慕っている部分もある。

 絶対に口には出さないけれど。

 多分、悔しいだけなんだろう。
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