フェイス
「何をしている?」


 かけられた声に思わず、振り返って固まった。

 時永がそこにいたから。


 運が悪い。

 外を春平が頑なに譲らなかったせいだ。

 あっちの方が違反者が多いから、やりがいがあっていいって言ったのに。


「……パトロールですけど」


 別にやましいことなんて何一つない。

 学校の安全を守るためのつもり。

 でも、答えたら睨まれた。


「生徒会辞めたてめぇがすることじゃねぇだろうが」

「あなたには関係ありません。これは個人的な趣味です。徘徊癖です」


 低い声が胸に痛い。

 どうして見なかったことにしてくれなかったのか。
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